『英國戀物語エマ』

2005/06/21

【感想】『英國戀物語エマ』第十二章~スズラン~

エマ(4) さて、いよいよ最終章の『英國戀物語エマ』(監督:小林 常夫)。

 それにしてもだ。
 TVA(テレビ愛知)に続いての早さで観られているTVO(テレビ大阪)での『フタコイ オルタナティブ』(総監督:逢瀬 祭)の放送とは異なり、tvk(テレビ神奈川)の放送から遅れること二日のSUN(サンテレビジョン)で観ていた『英國戀物語エマ』は、他のブログからのネタバレ回避がとっても辛かったです。
 半ばどうでもいい作品ならともかく、『英國戀物語エマ』は自分にとって、とても大切な作品でした。
 ですので毎週、それこそ必死でネタバレ回避に努めていました。

 さて、そんな環境で観ていた『英國戀物語エマ』のラストは、実に誇り高かったと思います。
 正直にいうと、エマ(CV:冬馬 由美)の後を追っていたウィリアム(CV:川島 得愛)が、駅のプラットフォーム上でようやく追い付いたときには、人目も憚らず力強くエマを抱き締めて、「行くな!」と叫ぶウィリアムを勝手に想像していました。
 ところが実際には、エマの方から「ありがとうございました」といわれてウィリアムはもうそれ以上、引き留めることはおろか、何も言葉を掛けることが出来なかった・・・
 こんなウィリアムを、「へたれ」といって非難することも出来るのですが、ここはもう一歩、作品に歩み寄りたいと思います。
 『タイタニック』(監督:ジェームズ・キャメロン)公開時に散々いわれたことですが、世間のより多くの人は、チープなラヴストーリーを求めています。
 先程、自分が想像していた「行くな!」なんていう台詞は、それこそチープもチープ。
 つまりそのチープなラヴストーリーを、自分は求めていたということです。
 対して『英國戀物語エマ』はどうだったかというと、そんなチープなラヴストーリーに陥ることなく、最後まで誇り高いラヴストーリーであり続けた。
 これはもしかすると、多くの視聴者の期待には応えていないのかも知れません。
 現に、「ウィリアムはジョーンズ家を捨ててエマの許へ」という自分の期待には、応えてくれませんでした。
 ですがそれこそが、『英國戀物語エマ』という作品の矜持だと自分は捉えています。

 19世紀末のロンドンに於ける、身分違いの恋。

 これを真面目に描き切ったからこその、『英國戀物語エマ』。
 これを最後まで描き切った小林常夫監督以下総てのスタッフに対して自分は、心から惜しみない拍手を贈りたいと思います。
 本当に良い作品をありがとう。

 これまでの小林常夫監督作品に於ける真面目さは、自分にとっては時として、堅苦しい代物でした。
 ですが『英國戀物語エマ』に於けるこの真面目さは、19世紀末のロンドンを描き切るのに、大いに貢献していたと思います。
 19世紀末のロンドンを知らない自分から観ても、そこはかとなくそれらしさを感じていましたから。

 また「最終章」とせず「第十二章」としたところから自分は、「第十三章」以降があるものと信じています。
 スズランが繋ぐ、エマとウィリアムの行く末を…



 さて最後になりましたが、『英國戀物語エマ』の感想をタイプするにあたり、以下のブログを自分のお気に入りに登録して参照させて頂いていました。

 「きつねのるーと」と「じーん・だいばー」のお部屋
 070-アーステイル-呼出し中
 Cosi Cosi
 KenjiMのブログ~アニメと野球と音楽と
 けん太のアニメ・コミック徒然草
 ここには全てがあり、おそらく何もない
 サブカルチャーに感想を
 ゼロから
 パズライズ日記
 月の砂漠のあしあと
 今日のブログ 明日のグラブロDESTINY
 深夜アニメ館
 吠刀光

 ありがとうございました。


 それでは、よしなに。(順不同、敬称略)

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2005/06/14

【感想】『英國戀物語エマ』第十一章~過去~

小説『英國戀物語エマ』(1) 明かされる衝撃の過去。

 これが本当に衝撃の過去なので、目を覆いたくなります。
 ですが、こういったことをきちんと描いているからこそ、エマ(CV:冬馬 由美)とウィリアム(CV:川島 得愛)の立場の差が、際立つんですね。

 思い起こせば、前回はエマがウィリアムの許を訪れ、今回はウィリアムがエマの許を訪れた。
 そして次回は、いよいよ最終章の~スズラン~。
 けん太のアニメ・コミック徒然草によりますと、スズランの花言葉は"幸福"だそうです。
 どんなに掛け離れた境遇を経てきていようとも、この二人には是非とも、幸福になって欲しいと思います。

 さて、このエントリをタイプするにあたり、もう一度エンディングを観直してみたのですが、やはり、幼少期のエマに対するクレジットはありませんでした。
 これはあの幼少期のエマも、冬馬さんが演じられていたということなのでしょうか?
 確かめるために、何度か聴き直してみたのですが、幼少期のエマは、自分の知っている冬馬さんのお声には聴こえませんでした。
 ですが、芸達者な冬馬さんのことです。
 あの幼少期のエマも、恐らくは冬馬さんなのでしょう。

 今夜もまた『英國戀物語エマ』(監督:小林 常夫)を観ながら、冬馬由美さんに惚れ直しています。(^^)


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/06/07

【感想】『英國戀物語エマ』第十章~すれ違い~

エマ(4) リチャード(CV:野島 昭生)はもちろんのこと、グレイス(CV:大原 さやか)達妹弟や、フランシス(CV:田上 由希子)やメアリー(CV:遠藤 綾)達使用人の見守る中、エントランス前で強くエマ(CV:冬馬 由美)のことを抱き締めるウィリアム(CV:川島 得愛)。
 リチャードに「恥を知れ!」と頬を叩かれても、「恥じることなど一つもない!」と言い返すウィリアムが、本当にカッコイイです。

 例えば、『ママレード・ボーイ』(原作:吉住 渉・シリーズディレクタ:矢部 秋則)。
 ヒロインの光希(CV:國府田 マリ子)に惚れる遊(CV:置鮎 龍太郎)や蛍(CV:石田 彰)には、作品内キャラクタとしての魅力は感じるものの、自分と同じ男としての魅力は感じません。
 ですが、ヒロインのエマに惚れるウィリアムには、自分の同じ男としての魅力を、大いに感じています。(この意見には自分の偏見が多分に含まれているのですが、女性が惚れる男性キャラクタと、男性が惚れる男性キャラクタは違うということでどうか)

 女性である原作者:森 薫さんが描くヒロイン:エマ。
 そのエマに惚れるウィリアムが、男の自分から見ても実にカッコイイ。
 これは、小林常夫監督が男性だからでしょうか?
 ですが、シリーズ構成の池田 眞美子さんは、当然のことながら女性です。
 自分は原作未読のため、このウィリアム像が原作からのものなのか、TVシリーズオリジナルなのかは判りません。
 しかしながら、女性主人公のストーリーで、それに惚れる男性キャラクタが、ここまで魅力的に描かれている作品は初めてです。

 『英國戀物語エマ』は一クールと聞いているので、残り話数は三話でしょうか?
 これはもう、一話たりとも眼が離せません!
 次回、第十一章~過去~も期待しています。

 そういえば今回の絵コンテは、宮崎なぎささんでしたね。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/05/31

【感想】『英國戀物語エマ』第九章~ひとり~

小説『英國戀物語エマ』(1) 人がひとり亡くなるということ。

 エマ(CV:冬馬 由美)が画面に映る度に、ケリー(CV:中西 妙子)が亡くなったというその重さから、自分は胸が潰されそうになります。
 そしてこのときウィリアム(CV:川島 得愛)は、エレノア(CV:小林 沙苗)とともに晩餐会へ出席しているんですね。
 この華やかさとの対比が、悲しみの表現にますます拍車を掛けます。
 だけどエマは、涙に暮れていたわけではありません。
 時折ケリーのことを思い出しながら、ただ淡々と、ケリーのいなくなった屋敷を片付けていました。
 そういった姿が自分には、より悲しく思えてなりません。
 ですが、それ以外のキャラクタ…特に、エマと同じ女性のメイド長(CV:五十嵐 麗)が、自分に自信を与えてくれます。
 貴族と料理人の立場の違いを彼女は、「料理人といえど、味で貴族様を感動させることができたその一瞬はね、対等になれるのよ。そういうものじゃない?」と言い切る。
 この台詞にはすっと、こちらの胸が晴れました。

 だけどエマは夜中に、水道の蛇口から滴り落ちる滴の音で、ふと目を覚まします。
 そしておもむろに、暖炉へ火をくべます。
 しばらくして、暖炉の暖かさが身体を包む頃、エマはひっそりと泪を流していました・・・
 こちらが頭で「悲しみを表現している」と理解するよりも先に、エマの悲しみがこちらの心に突き刺さります。

 更に、エンディングテーマ『Menuet for EMMA』の後には、いつもエマの許へミルクをせびりに来ていた野良猫が、どこか別の家の人に、ミルクをせびるシーンが挿入されていました。
 ケリーが去り、野良猫も去り、本当にひとりになってしまったエマ。

 婉曲に表現されればされるほど、エマの悲しみが深く伝わってきます。
 なのに毎度のことながら、その雰囲気をぶち壊す「コミックビーム」のTVCF!
 『英國戀物語エマ』(監督:小林 常夫)の掲載紙なら、もう少しは作品の雰囲気に沿ったTVCFにして欲しいと思います。


 さてこの『英國戀物語エマ』ですが、『エマ放送協會』総合ラジオによりますと、先日、遂に、最終回のアフレコが終了したそうです。
 最終回まで、眼が離せません。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/05/24

【感想】『英國戀物語エマ』第八章~時計~

エマ(4) 「あのエマが好きになったのよ」
 この、何の変哲もないケリー(CV:中西 妙子)の台詞は、自分の胸に深く突き刺さりました。
 ほんの少し、本当にほんの少しだけ抑揚を強めたこの台詞には、ここにはタイプし切れないほど、たくさんの豊かな感情が込められていました。
 アクションは殆どありませんし、たくさんの台詞があったわけでもありません。
 ですがこのシーンは、こんなにも温かい想いで溢れている。

 脚本は、台本で魅せようとする。
 演出は、絵コンテで魅せようとする。
 動画は、動きで魅せようとする。
 声優は、声の演技で魅せようとする。

 このシーンはというか、この第八章~時計~は、そのどれかが突出していたわけではありません。
 そのどれもが、まるで自己主張をしていないかのように、ぐっと抑えられていました。
 ですが自分はすぐに、この受け取り方が間違いだったことに気が付きました。

 少しでも無駄な台詞があろうものなら…
 少しでも無駄なカットがあろうものなら…
 少しでも下手な動きがあろうものなら…
 少しでも下手な芝居があろうものなら…

 これは抑えられていたのではなく、それぞれのパートが恐ろしいまでに高いところで、作品として実を結んでいたのだと思います。
 視聴者サイドはこれを、「完成度が高い」の一言でいい表すことが出来るのですが、そんな言葉で片付けてしまって、本当にいいのでしょうか?
 『英國戀物語エマ』(監督:小林 常夫)はこれを、TVシリーズでやってのけています。
 SUN(サンテレビジョン)では、地上デジタル放送でも4:3画面のレタボックス放送なのが玉に瑕ですが、次代を担うのに相応しい作品であると、自分は思います。

 次回予告の「第九章~ひとり~」の文字を見て、独りになってしまったエマ(CV:冬馬 由美)のことが、とても心配になってきました。
 フィクションの住人に、心を掻き乱されています。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/05/17

【感想】『英國戀物語エマ』第七章~水晶宮~

小説『英國戀物語エマ』(1) これまで自分が観てきた恋愛物では、ストーリーテンションがアップすれば、それに比例して、ヴィジュアルテンションもアップするものでした。
 ところがこの第七章は、エマ(CV:冬馬 由美)とウィリアム(CV:川島 得愛)のキスシーンがあるぐらい、ストーリーは盛り上がったのに、ヴィジュアルの方はいつも通りでした。
 いつも通りの真面目な絵作り。
 サブタイトルにもなっている水晶宮(クリスタルパレス)内でのモブシーンなんて、余りにも自然に描かれていて、全く眼が行かなかったのですが、あれは物凄いテクニックで描かれていたと思います。
 今回はそういったいつも通りの映像が、まるで最下段に打たれた香車のように、作品全体のテンションを支えていました。

 日が落ちて、映像はどんどん落ち着いていくのに、観ているこちらの心臓はバクバクしていました。
 暗い水晶宮内、途切れる会話、眼鏡を外すエマ、その手を取るウィリアム。
 そして・・・初めてのキス。
 BGMに「MOMENT」(唄:國府田 マリ子)が流れているわけでもないのに、こちらの盛り上がりは最高潮でした。
 こんなにハイテンションにさせられるローテンションな映像は、初めて観ました。
 派手なことをしなくても、テンションを上げることは出来る。
 いやむしろ、派手なBGMや画面効果で魅せるよりも、こういった地道で真面目な絵作りで魅せた方が効果的ではないだろうか。
 そんなことを思った、第七章でした。

 さて今回のウィリアムの行動で、一点だけ引っ掛かるところがありました。
 それは、エマを見失うところです。
 ウィリアムはエレノア(CV:小林 沙苗)との関係も重々承知していて、無言のツッコミを入れるハキム(CV:うえだ ゆうじ)に対して、「流されている訳じゃない」とまでいっています。
 ですから自分は、抜けているように見えるところもあるけれど、基本的にウィリアムは優秀な紳士だと思っていました。
 ところが今回のエマを見失うという失態は、自分の中にあるウィリアム像と少し違いました。
 もちろん水晶宮の展示物に、それだけ眼を奪われてしまったということなのでしょうけど、自分はそこに引っ掛かりを覚えました。

 ですがそんな引っ掛かりは、件のキスシーンでもう、どこかへ行ってしまいました。
 そのぐらい今回も良かったです。
 次回、第八章~時計~も期待しています。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/05/10

【感想】『英國戀物語エマ』第六章~訪問~

エマ(4) 前回のアル役:西村知道さんとの掛け合いに引き続き、今回も役者同士の掛け合いが、実に良かったです。
 いいですね、こういった芝居を自宅でゆっくりと噛み締められるって。

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2005/05/03

【感想】『英國戀物語エマ』第五章~晩餐会~

小説『英國戀物語エマ』(1) 端役にベテランを起用しているときには、絶対に何かある。
 『英國戀物語エマ』にも、この法則が受け継がれていた。
 今回はそんな第五章でした。

 これまではただの酒飲みだったアル(CV:西村 知道)。
 だがアルは、ケリー(CV:中西 妙子)とその夫ダグ(CV:森岡 弘一郎)と、昔馴染みだった。
 そのケリーとアルのやり取りが、実に良かったです。
 舞台と違って、タイミングは映像に委ねられているはずなのに、まるでベテラン同士が間合いを取り合って、タイミングをコントロールしているかのような映像でした。
 このやり取りについては、『エマ放送協會』総合ラジオの大原さやかさんも、「中西さんと西村さんの芝居は勉強にもなる」といわれていました。

 また、各キャラクタの行動原理が"他人への優しさに根付いていて"、凄く気持ちがいいです。
 特にケリーがネックレスをエマ(CV:冬馬 由美)に譲るシーンは、別に何か特別なことがあるわけではないのですが、観ていてジーンときました。

 あと前回は、テニスでウィリアム(CV:川島 得愛)に負けたハキム(CV:うえだ ゆうじ)でしたが、今回はビリヤードで勝ちに来ました。
 しかも、ウィリアムがキューを突き出す瞬間に小咳を払うという、ちょっと卑怯なテクニック(?)を用いて。
 何だかますます、ハキムというキャラクタが判らなくなってきました。(^^)

 第六章~訪問~も期待しています。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/04/26

【感想】『英國戀物語エマ』第四章~ミューディーズ~

エマ(4) (アフリカ象みたいな)インド象の次は、蒸気自動車ですか。
 やることが大胆というか何というか、第一章の頃の舞台設定による窮屈さはどこ吹く風で、とてもいい感じです。

 さて、今回のサブタイトルにもなっているミューディーズで、ウィリアム(CV:川島 得愛)とハキム(CV:うえだ ゆうじ)がエロ本…もとい、グラビアアイドル本(?)を立ち読みするというシーンがありました。
 ここでお約束として、エマ(CV:冬馬 由美)が通り掛かるわけですが、このときハキムはひっそりと身を引いているんですね。
 つまりこれは、自分は物陰に隠れ、エロ本を読んでいるウィリアムを、エマに見せ付けようという、ハキムの魂胆なのかと。
 またその後、ウィリアムとハキムによる、テニス(の原型?のようなもの)対決がありました。
 自分はこの後のエレノア(CV:小林 沙苗)の描写から、てっきりハキムがわざと負けたのだと思っていました。
 つまり、ウィリアムをエレノアにくっつけてしまって、エマからウィリアムを引き離そうとする作戦なのかと。
 ですがその後のハキムは、ウィリアムに対して、正々堂々とエマに告白したことを伝えます。
 それはまるでウィリアムに、「お前も早く告っちゃえよ!」といわんばかりに。
 ということで、前述のテニス対決は、ウィリアムの実力で勝利をものだったのですね。
 ごめんなさい。
 ハキムを腹黒く見ていたこちらの方が、腹黒かったようです。(苦笑)
 ですが、流石にエロ本の立ち読みについては、自らの保身を考えてのことですよね?…
 というかそれ以前に、19世紀末のイギリスでは、エロ本を立ち読みする紳士は、マイナスイメージに捉えられたのでしょうか?
 この辺りの感覚が、もう一つ掴めないでいます。

 さて、いつものアンティークショップでエマを待ち伏せるウィリアム。
 この勢いでエマに告白するのかと思いきや、やっぱりいつも通りの二人。
 だけどその二人の仲が確実に進展していることは、その二人の表情を見れば判ります。
 自分はこの「表情を見れば」というところに、物凄く魅せられています。
 特にエマは、喜怒哀楽をあからさまにしないキャラクタとして描かれています。
 ですがその抑えられた表情の中にも、きちんと喜怒哀楽が描かれています。
 このニュアンスを描き分けくる作品は、そうそう見られるものではありません。
 ましてや『英國戀物語エマ』(監督:小林 常夫)は、TVシリーズです。

 2005年は本当に、ハイクォリティTVアニメーションの年かも知れませんね。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/04/19

【感想】『英國戀物語エマ』第三章~告白~

小説『英國戀物語エマ』(1) まず最初に、ヒンディ語に拘るのなら、象にも拘って欲しかったです。
 牙も立派ですし、耳も大きいですし、あれはインド象じゃなくて、アフリカ象ですよね?
 この象の描写について、原作の方ではどうなっているのでしょうか?
 非常に気になります。

 このインドなのにアフリカ象という描写は以前、『少女革命ウテナ』(監督:幾原邦彦)のときにもありました。
 象のイメージというと、インド象よりもアフリカ象の方が強いというのは分かります。
 そしてインドという、インド象というイメージも。
 ですがそれらをミックスしてしまうというのは、どうなのでしょうか?
 特にこの『英國戀物語エマ』では、たいへんリアルな19世紀末のイギリスを描き出すことに、腐心しています。
 今回でいえば、新聞にアイロン掛けをするところまで、描いています。
 ですので余計に、今回の象は残念でなりません。

 ですが、立派な牙を持つインド象もいるとのこと。
 『英國戀物語エマ』は小林常夫監督作品ですし、あの象はアフリカ象のように立派なインド象だと思うことにします。

 というかそれ以前に、19世紀末のイギリスで、インドの金持ちが英國紳士と交友があり、多くの召使いを引き連れてお忍び(笑)で象に乗ってイギリスに遊びに来るというのは、あり得たことなのでしょうか?
 これがリアルなのかどうかの判断が、自分には出来ません。
 ですが『英國戀物語エマ』は元々フィクションなので、リアリティについてはここまでにしようと思います。

 さて、物語の方ですが、前回登場のエレノア(CV:小林沙苗)が、ウィリアム(CV:川島得愛)サイドのお邪魔虫とするならば、今回登場のハキム(CV:うえだゆうじ)は、さしずめエマ(CV:冬馬由美)サイドのお邪魔虫といったところでしょうか?
 死語と化したラヴコメ路線を地で行くキャラクタ配置が、実にいい感じです。
 この設定は、舞台を現代にすると、ベタベタ過ぎて見ていられないのかも知れません。
 ですが、リアリティ溢れる19世紀末のイギリスという舞台が、自分の眼には還ってフィクションに映り、このベタベタ恋愛話を思う存分フィクションの中で愉しめそうな感じです。

 更に次回予告を観ますと、第四章もハキムのラヴラヴ大攻勢が続くようです。(笑)
 他の方はどうか分かりませんが、自分はこのままの路線で進めて欲しいと思います。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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