【感想】TVシリーズ『CLANNAD -クラナド-』(16:9と4:3の両立)
TVシリーズ『CLANNAD -クラナド-』
(監督:石原 立也)
MBS(毎日放送)の4:3で第3回までと、BS-iの16:9で第1回を拝見をした上で、この感想をタイプしています。
あっ、自分は当然のように、Webラジオ「渚と早苗のおまえにレインボー」を聴いています。
何しろ自分は、ラジオが中心ですから…
PCゲーム『CLANNAD -クラナド-』
(2004 Visual Art's/Key)
原典であるゲームの方は皆さんのお話を聞いている限り、とてもたくさんのプレイ時間を要するようなので、今の自分にプレイは叶わないと思っています。
ですのでその代わり、このTVシリーズを思う存分愉しみたいと思います。
それで前作、前々作の『Kanon』(監督:石原 立也)や『AIR』(監督:石原 立也)のタイトルにも、それぞれに意味がありましたので、『CLANNAD』も早速Wikipediaで調べてみました。
『CLANNAD』はゲール語で"家族"とのこと。
まぁ実際には"clann"とのことですが、作り手の意図は分かりました。
なるほど。
だからこそ、岡崎 朋也(CV:中村 悠一)の"家族"と、古河 渚(CV:中原 麻衣)の"家族"が、あんなにも対比されているのですね…
さて、『CLANNAD -クラナド-』初体験の自分がこういった在り来たりな感想をいくら重ねてみたところで、恐らくは巷間に埋もれてしまうだけなので、ここからは自分らしい切り口でタイプしようと思います。
その切り口は2つあります。
シリアスを突き通した石原立也監督作品にも、触れてみたいです。
"家族"というものに真っ向から取り組んだ『CLANNAD -クラナド-』を原作に、あの京都アニメーションが制作するのですから、当然、このTVシリーズも、最終的に大局的なテーマは"家族"に行き着くと思っています。
現に、僕の声(CV:矢島 晶子)が語るアヴァンタイトルや、岡崎家と古河家の対比が、そういった大きなものに対して深く切り込もうとしています。
ところが・・・
第3回「涙のあとにもう一度」までの自分の印象では、ギャグが勝ちすぎています。
自分には、坂上 智代(CV:桑島 法子) vs 春原 陽平(CV:阪口 大助)の過剰演出が、『CLANNAD -クラナド-』の作品世界をぶち壊しているようにしか見えていません。
もちろん、これまでの京都アニメーション作品から、これがただのギャグシーンで終わらないことは百も承知しています。
だけど『CLANNAD -クラナド-』初体験の自分には、どうしてもそのように見えてしまうのです。
そして、BS-iで放送されている(いわゆる)TBSアニメは、このときからずーっとBSは16:9、地上波は4:3での放送を貫いています。
(『びんちょうタン』(監督:古橋 一浩)などの例外はあります)
ですので、TBSアニメとして制作される作品であれば、16:9と4:3の両立はさせるべきだと思っています。
ところが・・・
4:3で第1回「桜舞い散る坂道で」と第2回「最初の一歩」を比較視聴するとたいへん顕著なのですが、第1回の方が明らかに左右のトリミングラインが不自然です。
キャラクタの肩のラインが、画面の左右で切れているとき、その切れ方に作り手の思いが籠もっていないのです。
いかにも何も考えずに切っているような、そんな印象を受けるのです。
ですがこの第1回を16:9で視聴すると、これが物凄く良いのです。
特にラストの「あなたをお連れしましょうか?」の台詞。
この台詞を聞いた朋也の向かって右上の何もない空間が、そのときの朋也の心情を雄弁に語っているのです。
(惜しむらくは、BS-iのウォーターマークが邪魔なことですね)
そして第2回の4:3では、そういった印象はなかったのですが、16:9で映える映像になっているのかどうかは、今週放送予定のBS-iを待たねばなりません。
16:9と4:3の両方で映える構図を切れなかったばかりに、16:9と4:3でがらりと印象を変える第1回。
これはハイクォリティアニメーションの名をほしいままにしてきた京都アニメーションが、テクニックで他の作品に負けていることを示唆しています。
では、16:9と4:3の両方で映える構図を持つ作品があるのか?という疑問が湧いてくることでしょう。
自分はこの代表作として早すぎた名作、『ΠΛΑΝΗΤΕΣ』(監督:谷口 悟朗)をあげておきます。
あと、どうしても左右のトリミングばかりに眼がいってしまうのですが、実は上下もトリミングされています。
エンディング映像のオープンエンドスタッフ名が表示されているシーンで、だんご大家族が連なって大きな輪になるのですが、このときにMBSでは大きな輪の上が切れています。
BS-iでは綺麗な円が表示されています。
以上のように、『CLANNAD -クラナド-』に対して色々とネガティヴなことをタイプしてきましたが、これはこうでもタイプしないことには、この感想が巷間に埋もれてしまうからだとご理解下さい。
『CLANNAD -クラナド-』はそれだけたくさんの好評を博しているということです。
『CLANNAD -クラナド-』は自分にとっても、2007年秋No.1の作品です。
それでは、よしなに。(敬称略)
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コメント
いえいえいえ、誇張じゃないっす!ちょー熱烈要望ですよ!
ありがとうございます!
こんばんは、たこーすけです。
本文中でのご紹介をありがとうございました。
お礼が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。
>16:9と4:3の両立
昨日、16:9・BS-iの第2回を視聴しました。
もう何話か様子をみてからにしたいところでもあるのですが、
16:9と4:3の印象の違いは、自身の「感想」の方向に違いを生じさせかねない感じがしてきています。
考えすぎ、神経質になり過ぎ、なのかもしれませんが…
しかし、「空間」に対する印象の違いは、作品から受ける「空気」の違いにつながることと思いますので、あながち言い過ぎでもないと思っています。
16:9である「Invitation」を何回も観てから臨んだ、TBS第1回の4:3から受けた印象は、「でかっ!」でした。
そして、TBS・4:3の各回を何回も視聴して、慣れた後に観たBS-i第1回から受けた印象は、「広っ!というか部分的にはスカスカ!」でした。
それがまた、BS-i・16:9を観てしまうと、今度は4:3が窮屈に感じられもします。
シーン毎に、16:9、4:3、それぞれ「こっちの方がいいな…」というところを感じるのですが、
杏が教室で迫り来るところや、風子初登場で驚いて逃げるところなどは、16:9の方が良かったと思っています。
あと、朋也と渚が演劇部室で二人でいるところは、やはり16:9の方が「空気」が出てるように思いました。
「休部中」であり「二人しかいない」ということが、16:9の空間からの方がより伝わると言いますか。
一方で、4:3であまりにも観返し過ぎてしまったシーンは、16:9だと違和感を感じ、「もっと大きくきて!」とか思ってしまいます。
第1回、古河家の食卓での「ぐー」や、第2回、風子の「返して下さい」や「ドリブルー。シュート!」などがそれです。
なんだかなー。困ったものです…
どうやら、BS-iに絞っている方も多い様子ですね。
ぼくもそうしようかな、とも思うのですが、同日30分後にTBSがやるわけで、その誘惑には…
どうしよう…
長々と失礼いたしました。
Akihiro Inda.さんのこのエントリーは、第3話まで観た上でとのことですので、ぼくも第3話感想でTBさせて頂きました。
それでは、またですー!
投稿: たこーすけ | 2007/11/02 23:42
たこーすけさん、こんばんは。
今日、BS-iでの第2話と、MBSでの第4話を拝見しました。
あんなに違和感のなかった4:3での第2話が、16:9での空間の切り取り方を観てしまうともう、窮屈で窮屈で仕方ないですね。
かの小津 安二郎監督は、言葉ではなく映像でキャラクタの心情を描くために、シネマスコープ全盛の時代になっても、最期までスタンダードサイズのフィルムに拘ったそうです。
確かに4:3の方がキャラクタの心情にグッ!と迫れるのですが、自分が感じている『CLANNAD -クラナド-』の魅力は、16:9の広い空間を持って間接的に表現されるキャラクタの心情・・・つまりは「メタファ」なのです。
これは『Kanon』にも『AIR』にもいえることです。
既に Rec-POT F 上から、MBSでの第2話が消えてしまっているため、比較視聴が出来ないのですが、『CLANNAD -クラナド-』はやっぱり「16:9に限る!」ですね。
それでは、よしなに。(敬称略)
投稿: Akihiro Inda. | 2007/11/04 22:57