【感想】『Ｋａｎｏｎ』最終話「夢の果ての追復曲 ～kanon～」

『Ｋａｎｏｎ』
　(監督：石原 立也)

　いよいよ最終話を迎えた『Ｋａｎｏｎ』。

　サブタイトルは「夢の果ての追復曲 ～kanon～」。

　いよいよオーラスにして、メインタイトルである『Ｋａｎｏｎ』が、サブタイトルに組み込まれました。

彼らは夢の果てに、いったい何を観たでしょうか？

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奇蹟は起きないから奇蹟っていうんですよ。

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　相沢 祐一(ＣＶ：杉田 智和)が訪れた教会では、祐一のいる右手前のテーブルには４つのパンフレット(？)が、左のテーブルには立て札が１つだけというシーンがありました。

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でも、その奇蹟が起きるのが『Ｋａｎｏｎ』です。

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　これは奇蹟的な回復を遂げたキャラクタ達と、一人だけそうでない月宮 あゆ(ＣＶ：堀江 由衣)のメタファなのでしょうか？
　その隣の小さな立て札は、祐一かな？
　またこの教会から出てきて、空を仰ぎ見る祐一のカットが、とにかくカッコイイ！
　こんなにも在り来たりな構図が、こんなにもカッコイイだなんて。
　流石は第２３話終わりの次回予告で、最終話「夢の果ての追復曲 ～kanon～」の文字のバックに使われていただけのことはあります。
　あと、いつもは街中を走っていた路面電車が、今回は走らずに車庫入りしていたところなどに、自分なんかは最終話というものをひしひしと感じます。
　また、この次のカットのビルには、「ＦＯＸ」と書かれていますね。
　そして祐一のシャツには、「ＬＯＳＴ」の文字。
　最終話には、いろいろな文字情報が織り込まれています。

　前回の感想で自分は、「あゆの最後の願いは、「祐一くんのそばにいたい！」じゃないのかな？」なんてタイプしていたのですが、これは自分の器量が小さかった。

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「その娘の大好きな誰かに、ずっと笑っていて欲しい」

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　これだよ、自分のためじゃなくて他人のため。
　自分にはこういった他人への心が欠けていました。
　これからは、こういった他人への思い遣りを心掛けようと思います。

　夢の最後には、どんな願いでも叶う。
　逆にいうと、願いが叶った者は皆、夢から現実に戻ってくるんですね。
　心地の良い『Ｋａｎｏｎ』という夢の繰り返しから、辛いこともあるけれど、きちんと前へ進める現実に戻ってくる。
　だけど一人だけ、その夢の中から戻ってこないキャラクタがいた。
　それが相沢 祐一・・・
　彼は７年前に渡せなかった赤いカチューシャを渡したことにして、つまりは約束を果たしたことにして、自分の記憶から転落事故に纏わる一切合切を封印した。
　そうすることによって、辛い現実から眼を逸らした。
　弱い心が、潰れないように…
　想い出を、傷付けないために…

　だけどそれでは前に進めない。
　だからあゆは祐一を現実に呼び戻すため、祐一の夢に寄り添った赤いカチューシャ姿で現れるのを止めた。
　だからあゆは祐一が辛い現実を受け入れるのを、四角い部屋の中で、季節のない時間の中で、ずっと独りぼっちで、明けない夜に身を委ねながら、ずっと待っていたんだ。
　そして祐一が嗚咽と共に、その辛い現実を受け入れることで、あゆは明けない夜から帰ってきた。
　現実に戻ってきた。
　だけどその７年間（いや、８年間かな？）が長すぎたため、あゆには車椅子が必要になっていたけど、またいつか必ず元気な姿で、真っ白な雪の上を駆けることが出来るよ！
　そう、エンディング「風が辿り着く場所」(唄：彩菜)のように…

　それにしても、エンディング映像自体はこれまでと何ら変わりないのに、なんだこの感覚は！
　『Ｋａｎｏｎ』という物語は、映像が持つ意味さえも変えられるのか！
　もうかれこれ、この最終話を４回ほど観返しているのですが、観返せば観返すほど、感動が熟成されていきます。
　リアルタイムで観ていたときにはそうでもなかったのですが、今では「風が辿り着く場所」のイントロが流れ出すだけでもう、これでもかっていうぐらいに胸がいっぱいになります。

　こういったところから『Ｋａｎｏｎ』は、"不朽の名作"であると断言できます。
　作品内容を理解できずに、「駄作だ」といわれている方もいらっしゃるようですが、１０年後には今の『serial experiments ｌａｉｎ』(監督：中村 隆太郎)のようになっていると、確信しています。

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『君が望む永遠』 (監督：渡邊 哲哉)

　かの名作でヒロインの涼宮 遙(ＣＶ：栗林 みな実)は、交通事故から３年後に目を覚ましました。

　そのため主人公の鳴海 孝之(ＣＶ：谷山 紀章)は、速瀬 水月(ＣＶ：石橋 朋子(たかはし 智秋))と結ばれることになります…（遙との物語は現在、ＯＶＡとして制作中）

　対して『Ｋａｎｏｎ』でヒロインの月宮 あゆは、落下事故から７年後（いや、８年後かな？）に目を覚ましたにも関わらず、主人公の相沢 祐一と共に同じ道を歩いている。
　これが『Ｋａｎｏｎ』という物語です。

　夢の果てに観た追複曲(カノン)は、とっても温かかったよ。

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[特報]
ＴＶアニメーション『ＣＬＡＮＮＡＤ』製作開始！

　それにしてもこの、百烈キックが凄いですね。

　それこそ、このタイミングでこの[特報]を出してくるぐらい凄いです。

　一連の京都アニメーション作品は、全くといっていいほど、話題に事欠かないですね。

　あっ、自分は『ＣＬＡＮＮＡＤ』未プレイです。
　さて、三度交える東映アニメーションとの・・・
　いや、もう、結果は見るまでもないでしょう。

　それでは、よしなに。（敬称略）