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2005/07/28

【5.1ch】『フルメタル・パニック! The Second Raid』Scene03「迷宮と竜」

終わるデイ・バイ・デイ(下)フルメタル・パニック! この感想は、31日(日曜日)にタイプしています。

 さて、『フルメタル・パニック! The Second Raid』(監督:武本 康弘)の作画に関しては、余りにも高い評判しか聞かないので、ここは敢えて映像に関して至らないところを指摘したいと思います。
 なお、これはただ自分が天の邪鬼なだけですから、「俺の、僕の、私のTSRを悪くいうな!」という意見は、どうかご勘弁を。
 (そういった意見は、PlayStation2『AIR』で懲りています)



 3DCGIの重力演算について。

 例えば『モンキーターン』(監督:秋山 勝仁)及び『モンキーターンV』(監督:秋山 勝仁)の、モーターボートレースシーン。
 これはOLMデジタルが、三年の歳月を掛けて自社開発した、「モーターボートレースシーン制作用ツール群」によって表現されています。
 このモーターボートレースシーンを一言で表すと、「たいへんリアル」になると思います。
 このリアルさは、該当ページを見て頂ければ分かるように、たいへんたくさんのファクタによって支えられています。
 その中で今回は、"重力"というファクタを、キーワードとして挙げたいと思います。
 この地上では通常、森羅万象に対して1Gの重力が掛かっています。
 そしてこのツール群がその"重力"を演算し、表現しているからこそ、あのリアルなモーターボートレースシーンが実現できているといっても、過言ではないでしょう。

 では翻って、『フルメタル・パニック! The Second Raid』に於ける、3DCGIを観てみましょう。
 今回、冒頭にあったヘリコプタ墜落シーンを観て、何だか不自然に思われなかったでしょうか?
 自分はScene01のときからずっと、『フルメタル・パニック! The Second Raid』の3DCGIを、不自然に感じていました。
 その理由は、先程キーワードとして挙げた"重力"です。
 自分は当然のことながら、京都アニメーションデジタル映像開発室に足を踏み入れたことがないので、実情は分からないのですが、自分の眼には京都アニメーションの3DCGIが、重力演算をしているように見えないのです。
 被弾したヘリコプタが墜落するともなれば、壊れたローターが最後の力を振り絞って生み出す途切れ途切れの浮力と、無情にも襲い掛かってくる重力との鬩ぎ合いの果てに、放物線を描きながら墜落していくものと思います。
 ところが今回の墜落シーンに、そういった表現は感じられませんでした。
 ただヘリコプタが、直線的に落ちていっただけのような、そんな感じでした。

 これが他のロークォリティな作品であれば、「まぁこんなものだろう」で済みますが、『フルメタル・パニック! The Second Raid』は、非常にハイクォリティな作品です。
 しかも迫力の、5.1chサラウンドステレオ放送。
 そのため、こういった些細なところがかえって目立っていると思います。



 指摘ついでにもう一点、AS(アームスレイブ)のECS(電磁迷彩システム)表現について。

 前述のヘリコプタなどは3DCGIなので、ポリゴンに角度を持った背景を透過させることによって実線を際立たせ、ECSをそれらしく表現しています。
 それらに対してASは、手書きで表現されています。
 つまりASは、3Dではなく2Dなのです。
 そのためASには、そのまま上記の表現方法を適用できません。
 ではどうやってASのECSを表現しているのかというと、それは背景の透過と、黒の実線を太いライトブルーのエフェクトに置換することによって、表現されていました。(そう自分が受け取っているだけで、実際には違う方法かも知れません)
 ところが、この表現には限界がありました。

 カメラに対して手前のものは大きく、奥のものは小さくというのは、所謂遠近法の基本です。
 ですが、最近のアニメーション表現に於いては、手前でも奥でも変わらないものがあります。
 その代表格が、実線の太さです。

 Scene03の16分30秒頃にある、ARX-7(アーバレスト)のトンネル突入シーンを観て頂ければはっきりするのですが、ECSで見えにくくなっているはずのARX-7が、画面の奥に行けば行くほど、太いライトブルーの塊として、画面上に浮いてきます。
 これはASのECS表現に、前述の表現方法を用いているためです。
 もちろん、仕方のないことといえばその通りなのですが、姿を隠すというECSの表現方法としてこれは、もう一つといったところではないでしょうか?

 もちろんこれも、先程の重力演算と同様、ハイクォリティな作品だからこその指摘です。
 何度でも繰り返しますが、こういった重箱の隅的な指摘が出来るのは、全体の完成度が総じて高いからです。
 3DCGIの重力演算ないしは、それと同等以上の表現ができるようになれば、『フルメタル・パニック! The Second Raid』は、今よりももっと高見に上り詰められると思います。



 さて次は、5.1chサラウンドステレオ放送について。

 今回、「迷宮」と称されたトンネル内での音響が、非常に良かったと思います。
 トンネル内に発せられた音は、反響音がリアチャネルに載るのに対して、コクピット内にいるパイロットの声などは、フロントチャネルにしか載らない。
 当たり前といえば当たり前なのですが、2000年12月 1日(金曜日)放送開始のBSデジタル放送以前では考えられなかった、5.1chサラウンドステレオ放送のTVシリーズ。
 劇場ではなく、TVを前提にしているのが、時代だと思います。

 色々と問題も多いけれど、こんなに素敵な時代に生まれてきて、良かったと思っています。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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コメント

フルCGのアニメーションだと往々にしてこのようなことが発生しますね。
思い起こせば、「頭文字D」の製作が進むに連れてCGの完成度がアップしていき、巧くんの成長と同じように作品の出来がどんどん成長していたことが、懐かしくも思えています。
とは言え、いくら使用するソフトの性能が上がってもそれに適用するデータを入力し忘れたら…、意味がないですね。描写が精密になればなるほど、入力しなければならないデータが増えていって、意図的にデータを入れなかったり、または入れたくてもでデータをを算出できなかったりしたのではないでしょうか?

個人的に言えば『モンキーターン』や『頭文字D』の水しぶきの表現には、少し疑問を持っています。本物はもっと派手に水飛沫を上げていると思うのですよ。

ではではです~

投稿: きつねのるーと | 2005/07/31 21:04

 きつねのるーとさん、こんばんは。

 『頭文字D』は観ていないので言及できないのですが、『モンキーターン』も後半になればなるほど、痺れるカメラワークが増えてきました。
 要はCGといえども道具であり、使う人の技量に左右されるものなのだと思います。
 つまり、思いきっていってしまうと、TSRの3DCGIはまだまだなんです。

 それで『モンキーターンV』の放送中に、尼崎競艇を訪れたことがあります。
 そのときに本物のモーターボートを観て、「このモーターの爆音は本物に限るなぁ」と感じました。
 あの耳をつんざくような爆音の再生は、録音では不可能でしょう。
 フィクションに於けるリアリティとは、"本物"ではなく、"本物みたいだ"ということだと思っています。


 それでは、よしなに。

投稿: Akihiro Inda. | 2005/07/31 21:23

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