【感想】『英國戀物語エマ』第八章~時計~
「あのエマが好きになったのよ」
この、何の変哲もないケリー(CV:中西 妙子)の台詞は、自分の胸に深く突き刺さりました。
ほんの少し、本当にほんの少しだけ抑揚を強めたこの台詞には、ここにはタイプし切れないほど、たくさんの豊かな感情が込められていました。
アクションは殆どありませんし、たくさんの台詞があったわけでもありません。
ですがこのシーンは、こんなにも温かい想いで溢れている。
脚本は、台本で魅せようとする。
演出は、絵コンテで魅せようとする。
動画は、動きで魅せようとする。
声優は、声の演技で魅せようとする。
このシーンはというか、この第八章~時計~は、そのどれかが突出していたわけではありません。
そのどれもが、まるで自己主張をしていないかのように、ぐっと抑えられていました。
ですが自分はすぐに、この受け取り方が間違いだったことに気が付きました。
少しでも無駄な台詞があろうものなら…
少しでも無駄なカットがあろうものなら…
少しでも下手な動きがあろうものなら…
少しでも下手な芝居があろうものなら…
これは抑えられていたのではなく、それぞれのパートが恐ろしいまでに高いところで、作品として実を結んでいたのだと思います。
視聴者サイドはこれを、「完成度が高い」の一言でいい表すことが出来るのですが、そんな言葉で片付けてしまって、本当にいいのでしょうか?
『英國戀物語エマ』(監督:小林 常夫)はこれを、TVシリーズでやってのけています。
SUN(サンテレビジョン)では、地上デジタル放送でも4:3画面のレタボックス放送なのが玉に瑕ですが、次代を担うのに相応しい作品であると、自分は思います。
次回予告の「第九章~ひとり~」の文字を見て、独りになってしまったエマ(CV:冬馬 由美)のことが、とても心配になってきました。
フィクションの住人に、心を掻き乱されています。
それでは、よしなに。(敬称略)
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コメント
泣かせる話でした。医者を呼ぶと急ぐアル、言葉の意味を遅れて理解するエマ。階段を駆け上がることの意味は、これまでのエピソードで深みがあります。穏やかな寝顔とのギャップにあっけにとられる=>不安がよぎるが期待を込めて語りかける=>全てを察し、泣き崩れる、という一連の感情が丁寧に描かれており、感服しました。絵だけではない、声だけではない、見事なアニメでした。
原作では、来週分9話に回想としていれられるだけで、直接的な描写はありません。ただ、今後の話を考えると、描いたアニメ版の方が上手いやり方だと感じました。
ただ、残り話数でどこを落としどころにしてくるのか、非常に心配です。リチャードの見上げる絵の女性を(誰かは存じているのですが)どのように絡めてくるのか。今後は、かなりオリジナル展開を突き進みそうな雰囲気を感じています。
投稿: やじ | 2005/05/27 23:47
やじさん、こんばんは。
原作未読の自分には、落とし所が見えないでいます。
ベタベタで行けば、ウィリアムが総てを投げ出してエマの元へというのがパターンかと思うのですが、今のところそのような雰囲気には見えません。
『美鳥の日々』では、きちんとハッピーエンドでしたので、『英國戀物語エマ』もそうなるのかな?
それでは、よしなに。
投稿: Akihiro Inda. | 2005/05/29 22:47