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2005/02/09

【考察】劇場版『AIR』

 ネット上に散らばる皆さんの感想を拝見しまして、思うことがありました。
 そこで改めて考察という形で、この文章を認めようと思います。



 1970年代、出﨑統さんが、後に出﨑演出と呼ばれる表現方法を確立しました。
 それからというもの、この表現方法は研究され続け、他の演出家にも影響を与えるほどの演出になりました。
 これはアニメーション業界全体の底上げにも、繋がりました。
 ここから生み出された作品は、瞬く間に多くの人々の心を捉えて放しませんでした。

 時は流れて2000年 9月。
 VisualArt's/Key が、『AIR』という恋愛アドベンチャーゲームを生み出しました。
 この『AIR』により VisualArt's/Key は、『Kanon』を嚆矢とする泣きゲーの地位を、不動のものとしました。
 『AIR』は多くのプレイヤに、感動の泪を与えました。

 そして2005年 2月、劇場版『AIR』公開。
 続々とクォリティの高い映画が発表されている昨今、多くのファンは当然、『AIR』の感動を違った形で味わえる、たいへん素晴らしい劇場版が観られるものと期待しました。
 ところが、実際に出来上がった作品は、出﨑演出による『AIR』風味の劇場版でした。
 しかも今の時代、既に出﨑演出は下火となっており、今では珍しいタイプの演出となっていました。
 どの分野でもそうですが、新しい表現方法は日々、多くの人々によって研究されています。

 さてネット上では、劇場版『AIR』を観た人が口々にしていいました。
×「確かに『AIR』には違いないんだけど、期待していた物とは違う」
○「期待していた物とは違うけど、これはこれで面白い」
×「出﨑演出は今の時代には合わない」
○「『AIR』のことは知らないけれど、この劇場版は面白かった」
 etc.

 この件をもっとマクロに、エンタテインメントとして捉えてみるとどうでしょうか。
 例え看板と中身が違っていても、実際に観てみてそれが、予想していたもの以上に面白ければ、それでその人は満足すると思います。
 何しろお金を払って、エンタテインメントを享受しに来ているのですから。
 では、劇場版『AIR』はどうだったのでしょうか?
 皆さんの感想を総合しますと、『AIR』という素材と出﨑演出はまるで、相殺し合っているかのように見受けられました。
 少なくとも、この二つの相乗効果がプラスに作用しているという意見は、見当たりませんでした。
 実際、自分も、この設定は何のためにあるの?と、首を傾げた箇所が幾つもありましたから。
 つまり、出﨑統監督以下制作スタッフ一同は、『AIR』という素材を使いながらも、その作品を劇場版の名に相応しい内容までには、仕上げ切れなかったのです。
 もちろん作品としては、きちんとしたものに仕上がっていますので、それを面白いといわれる方は、たくさんいらっしゃいました。
 ですが看板には、劇場版『AIR』を掲げているのです。
 劇場版という言葉には、"お金の掛かった大作"というコンセンサスがある。
 普通に面白いどころではなく、劇場版の名をほしいままにするだけの面白さが、要求されているのです。
 『AIR』という素材を十二分に活かした感動が、要求されているのです。
 そんな折り、皆さんの感想の中に、こういった意見がありました。

 そもそも尺の関係から、長編シナリオで魅せる恋愛アドベンチャーゲーム『AIR』を、決められた時間内で魅せなければならないアニメーション作品にすること自体に、無理がある。
 あの感動を、他のメディアで味わえるわけがない。
 『AIR』という素材は、じっくりとテキストを読ませる恋愛アドベンチャーゲームをもって、初めて活きてくる。

 ところが・・・劇場版『AIR』の公開に先行すること一ヶ月。
 新進気鋭の石原立也監督以下制作スタッフ一同が既に、TVシリーズ『AIR』に於いて、これを実現しようとしていました。
 その圧倒的な映像をもって、各話二十数分のアニメーション作品が、長編の恋愛アドベンチャーゲームの感動に迫ろうとしていました。
 恋愛アドベンチャーゲーム『AIR』の感動から冷めやらぬ人はもちろんのこと、普段からゲームをプレイしない者でも充分に愉しめる、TVシリーズ『AIR』。

 同じ『AIR』という素材を用いて、同じアニメーションという表現方法で制作されているのにも関わらず、その完成度がまるで違う二つの『AIR』。
 多くの場合、劇場版の方が完成度は高いとされているのですが、この『AIR』に於いては、多くの人から「神懸かり的だ」と称されるほどに、TVシリーズの方が高いです。

 この先行したTVシリーズの高評価も相俟って、相対的に劇場版への評価は芳しくありません。
 こうなってしまった原因は、いったい何なのか?
 シナリオ?絵コンテ?演出?原画?動画?仕上げ?背景?撮影?特効?演技?上映時間?予算?プロデューサ?etc.?…
 この劇場版『AIR』も他の作品と同様、たいへん多くのスタッフが関わっています。
 それぞれのスタッフは、その与えられた範疇に於いて、精一杯の努力をされたものと思います。
 ですがシナリオは、パンフレットに掲載されていた第三稿の方が断然良いと専らの評判ですし、原画は時折、崩れるところが見受けられる。
 また動画の方も、写真を燃やすところなどに不自然なシーンがあり、背景は精彩に欠けるところがあった。
 何よりも全体的に、他の劇場版作品と比べて、お世辞にも潤沢な予算が掛かっているようには見えない…etc.
 各パートの責任は、各パートに携わったスタッフにあると思います。
 ですがこういったとき、映像作品の監督に関わらず、監督を拝命した総ての人は、その事業全体に関わる総ての責任を負うものと考えます。
 つまり、例え個々にそれぞれの責任があろうとも、万が一全体が失敗したときには、それらを引っくるめて総ての責任を取る。
 逆に全体が成功した暁には、総ての賞賛をそれぞれのスタッフの許へ還元する。
 これこそが監督にしか出来ない栄誉ある役目であると、自分は考えます。

 よって、劇場版『AIR』がこうなってしまった原因は、監督:出﨑統その人にあると、自分は考えます。

 劇場版『AIR』は、劇場版としても、『AIR』としても名前負けの作品でした。
 満足に表現されているものは、出﨑統作品としての映像だけでした。
 これらのことから、出﨑統監督は他の能力に長けていたとしても、劇場版『AIR』の名を冠するに相応しい作品を生み出すまでの能力はなかったと、自分は判断しています。
 それだけ原作ソフトの『AIR』が、偉大だったのでしょう。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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コメント

TBありがとうございます。そして、素晴らしい論説に胸を打たれました。正直な話、趣味に関するブログを読んでいて目頭が熱くなったのは初めてのことでございます。自分がもやもやと考えていたことが、すとんと胸に落ちた心地です。これで、もうゴールしてもいい気分になりました(笑)。

この文章が読めただけでも、劇場版を見に行った価値があったように思えてきました。本当にありがとうございます。今回の色々な経験を糧にして、また修羅の道へ参りたいと思います。

投稿: てりぃ | 2005/02/09 21:03

 こんばんは、てりぃさん。コメントサンクスです。

 実は自分も驚いていたんです。
 この考察をアップしてから、いつものように『AIR』関連ページを巡回していると、自分と同じように、再度、劇場版『AIR』の感想をアップしているてりぃさんがいて。(^^)
 しかも、ラーメンとハンバーガーの例!
 自分が挙げた例よりも、そちらの方が遙かに伝わりやすい。
 自分ももっと精進しないとなと、思いました。
 これからも宜しくお願いします。

 それでは、よしなに。

投稿: Akihiro Inda. | 2005/02/09 23:07

大筋において、現状のファンの評価を分かり易く説明しておられます。ただ、何点か気になった事を意見させてもらいます。

『そもそも尺の関係から、ノベルゲームを、アニメにすること自体に無理がある』
『石原立也監督以下制作スタッフ一同が、TVシリーズに於いて、これを実現しようとしていました』
論理的な誤りがあります。
上の文からは「困難なアニメ化をTVシリーズ製作スタッフが実現している」と結論してしまいそうですが、
困難な条件として上げられている『尺の関係』は劇場版にかかるものであって、TVシリーズにかかるものではありません。この間違いによって、その後に書かれたTVシリーズ製作スタッフの仕事に対する評価が、冷静に見たものでなく過大に評価されたものに思わせる感があります。『考察』文を掲げるならこういう穴は作らない方がいいでしょう。

>諸事情のいかんに関わらず、何事も総ての責任は監督にあると、自分は考えます。
>つまり、それを何とかするのが監督の仕事であり、それを遂行するための監督権限であるということです。
間違いです。もしくは、根拠の無い意見をただ述べているだけです。
『諸事情のいかんに関わらず』とありますが、予算、製作期間などは監督の権限内に無く、むしろ監督の権限とはその枠内のものでしかありません。その制約がある以上、作画スタッフなどのレベルも限定されるし、監督を拘束する時間すらもその予算にかかってきます。
私は監督に非が無いなどと少しも思いませんが、満足な作画スタッフを揃えられなかった東映アニメーションや、監督を納得させる事の出来なかった脚本家などにも少しづつ責任があると思っております。
映画一本の成功・失敗の『総ての責任』をただ監督に負わせるのは非常に短絡的で危険です。『考察』するならば、『諸事情のいかんに関わらず』などといい加減な事を言わず、もっと微に入り、細に入り経緯を調べた上での意見を述べるべきでしょう。

『考察』とは物事の本質や状態などを明らかにするための行為であり、そのためには有無を言わさぬ緻密さが必要であると思います。がんばって下さい。


投稿: 無知ノ知 | 2005/02/16 11:34

 無知ノ知さん、コメントサンクスです。

 こういったコメントは大歓迎です。
 コメントを受けまして、加筆修正を施しました。
 ですが自分は、総ての責任が監督にあることを、短絡的だと思っていません。
 しかしながら【考察】と銘打った以上は、無知ノ知さんが仰ることももっともだと感じました。
 その辺りも含めまして、再度考え直し、推敲し直してみました。

 また何かありましたら、コメントをお願いします。
 いつでもお待ちしています。


 それでは、よしなに。

投稿: Akihiro Inda. | 2005/02/16 22:35

はじめまして~。元AIRのファンサイトやってたLaLaLaと申します。
(今でも半ばそうですが)

今回の考察、興味深く読ませていただきました。
概ね、私の意見と同じです。やはり、「監督」である以上、
出す「作品」としてのクオリティという点において一番の
責任を負う必要があると考えます。今回のAIRのレベルで、
出崎監督は「妥協点」としたわけですから。

劇場へ見に行く人間にとって、製作側の予算状況など構う点ではありません。鑑賞料を払って、
「予算の関係で、この程度しか作れませんでした^^;」
では済まないわけです。

個人的に言えば、シナリオの作り以上に作画の崩れが一番
まずかったと思います。シナリオはまだ個人の判断に委ねられるところですが、
作画の崩れは製作のまずさが露呈してるわけですので。
特に、"見てる側は無料で見られる"TVAの出来が素晴らしい以上、
あの出来では…。

取り留めなくなりそうなので、このあたりで。

投稿: LaLaLa | 2005/02/17 07:49

 LaLaLaさん、コメントサンクスです。

 どんな作品でも多かれ少なかれ、妥協の産物であることには違いないのですが、劇場版『AIR』は、それが低すぎたのかも知れません。
 いや、正しくいうと、原作ソフトやTVシリーズが高すぎただけなのですが…
 いずれにしましても映画は、観客を満足させてナンボだと思っています。


 それでは、よしなに。

投稿: Akihiro Inda. | 2005/02/17 19:26

書き直し、ご苦労様です。もう出てくるつもりは無かったのですが、書き直し部分がひどかったのでもう一言だけ意見させていただきます。

長くなるので『監督の責任』のくだりのみ言及いたしますが、ここで書き直した部分は結局、「色んな事情があったけれど、それを全部ひっかぶるのが監督というものだから、全部監督の責任」と言っているに過ぎず、折角色んな事情の部分を上げ連ねている意味が全くありません。むしろ、無駄です。もう一つの根拠としている、若干、陶酔を感じさせる監督論などはそれ自体が何の根拠も持っていないのですから、これも意味がありません。ここまで論理的に破綻した上で「よって、劇場版『AIR』がこうなってしまった原因は、監督:出﨑統その人にある」などと太字にして主張されると、浅はかな印象しか残りません。書き直した意味が無いばかりか、むしろ悪くなってます。あなたは「短絡的ではない」と言っておりましたが、「短絡的」以外の何物でもありません。

2/6付けの「先行鑑賞会」の文章も読ませていただいておりますが、その中での劇場版の分析は、ある程度理性的でそれなりの説得力を持っているものに感じました。しかし、このページの内容は理性より感情が先走り、『考察』でも何でも無くただの『感情論』となってしまっております。
あなた自身の『劇場版の分析』を更に理性的に掘り下げていけば、監督の力不足が原因であった部分と、そうでない部分が浮き彫りになってくると思います。そのように『考察』された文章ならば反対意見を持つ者をも納得させる事もできるし、当の監督ですらその意見に耳を傾けるかもしれません。

元々、同じ感想を持った人間の同意を得るだけの文章など大した価値はありません。大した分析も無く、論理的で無かったとしても、主張する結論さえ同じであればいいのですから。ですが、当然それでは反対意見の人間をも納得させる事はできません。そのためには、まず自分の感情を殺し、その上で緻密な『考察』をする必要があります。そうして誰をも納得させる事のできた文章にこそ価値があります。この先あなたが価値のある文章を書くか否かは、全てあなたにかかっております。がんばって下さい。

投稿: 無知ノ知 | 2005/02/18 03:30

 無知ノ知さん、再びありがとうございます。

 「書き直し部分がひどい」と「価値ある文章を」から、ご自身の溜飲を下げているだけなのか、拙文に期待を寄せているのかが掴みづらいのですが、自分は良い方に取ります。
 啓発であると捉えます。

 無知ノ知さんと自分の一番の違いは、「監督の力不足が原因であった部分と、そうでない部分が浮き彫りになってくると思います」や、「誰をも納得させる事のできた文章にこそ価値があります」の辺りだと感じました。
 自分はこのように思っておりません。
 監督という職能は、理路整然と説明できるものではなく、混沌としていて多岐にわたるものと捉えています。
 もちろん、劇場版『AIR』に於ける出﨑監督だけを徹底的に突き詰めていけば、ある程度のところまでは、浮き彫りになると思います。
 ですがそれは本当に、監督というものを捉えているのでしょうか?
 それは本当に、作品というものを捉えているのでしょうか?
 自分はもっと総合的なものの捉え方の方が、より監督や作品というものを捉えていると思っています。
 そして、誰をも納得させる文章はあり得ないと思っています。

 ですがこれらのことから、「作品の善し悪しは監督の責任」という結論ありきでタイプしてしまったという、反省はあります。
 じゃぁ、もう一度タイプし直すのか?というと・・・
 これ以上を目指すには、資料…じゃ言葉が悪い、体験が足らないと感じています。
 本作以外に、出﨑監督作品には殆ど触れていないし、原作ソフトも未プレイのままの自分に、これ以上の掘り下げは厳しいものがあるのではないでしょうか?
 手許に劇場版『AIR』のDVDがあれば、また違うのかも知れませんが、今のところ自分には、各種資料から間接的にしか掘り下げていけません。

 今のところ、【考察】を冠するには力不足かも知れません。
 【考察】を取り下げようかとも考えたのですが、このコメントとセットで残るところから、このままにしたいと思います。

投稿: Akihiro Inda. | 2005/02/18 20:39

どうもお疲れさまです。

難しいお話ですね。私自身も「論説めいたものを書く時にはなるべく感情を廃して理性的に」と『頭』では思っているのですが、実現できているかというとなかなか…。と言いますか、はっきり言って感情にまかせてぶっちゃける方が好きです(爆)。

劇場版AIRに関して言えば、私自身が既に理性的ではないので(苦笑)、本来この件に関して語る資格を持ちません。ですが、劇場版AIRが不出来とされることのかなりの非が監督にある、という確信めいた気持ちは私も持っているのです。それを論理的に、反対意見を組み伏せるほどの鋭さで説けないのが何とも歯がゆいのですが…。

「原作の持ち味を生かす努力を監督がしていない」「独立した劇場作品と思ってみても、監督の意向が作品の向上に十分寄与していない」という2点が、監督にある程度の非が認められる部分とは思いますが。そこまでですね。とりまとめ役としての監督業のなんたるかについては、私も知らなすぎますので。ただ、監督が劇場版スタッフを代表する「顔」である以上、責任もついて回るよなぁとは思います。…苦しいなぁ。

投稿: てりぃ | 2005/02/18 21:30

 てりぃさん、コメントサンクスです。

 これをいうとまた感情論だといわれるかも知れないのですが、てりぃさんの「確信めいた気持ちは私も持っている」の部分。
 こういった気持ちに踏み込むのが、監督というか表現者の目指しているところなんだと、自分は思っています。
 理屈なんかじゃなくて、観てくれた人の心に楔を打ち込む。
 「感動した」という人のお話を聞いていると、これが出来ているようなんですね。
 ですが・・・劇場版『AIR』は、それ以外のマイナスファクタが多すぎるんだと思っています。

投稿: Akihiro Inda. | 2005/02/19 01:38

どうもこんにちわ。
この記事・コメントのやりとりをみて論理性や文章について少し分かったような気がします。お互い精進できたらいいですね。
劇場版AIRについては、僕は見てないのでコメントできませんが、"皆が望んでいたもの"がどうであるのかが難しいところなんじゃないかなって思いました。
・想像していたものとは違うがこれはこれで面白かった  
という意見がある以上、作品に対する感想、原作に対する感想なども色々あるわけですから
必ずしも見た人全員が納得できるモノは難しいでしょう。
作画がひどいっていうのはさすがに・・・・ですけどねw

投稿: にょぅ | 2005/02/19 18:16

 にょぅさん、コメントサンクスです。

 その、作画が酷いというのも、酷いシーンもあるという程度でして、全編にわたってということではないんです。
 また他に作画が酷くても、内容が面白い作品はたくさんありますからね。
 それに、作品に関して云々するということは、作品から自分が云々されていることに等しいのです。
 別に自分を良く見せようとまでは思いませんが、せめて悪くはならないようにと思っています。

投稿: Akihiro Inda. | 2005/02/19 18:45

無知ノ知です。批判的な意見にまっすぐ向き合おうとする貴方の態度に敬意を表し、最期にもう一度だけ書き込ませていただきます。

そもそも私がいささか辛辣に批判させていただいたのは、感情まかせに書かれた文章を読み、強い不快感を与えられたからです。今はあなたの生真面目さを垣間見て既に毒気も抜かれておりますが、その上で意見を述べさせていただきます。
「誰をも納得させる文章はあり得ない」のは極論において私もそう思っておりますが、だからといってその努力を放棄するならば、批判文は書くべきでありません。もしくは、その文を多くの人に見せようとはしない事です。相手を納得させようともせずに批判するのはただの感情的な意見でしか無く、それはただ不快感を与えるだけの文章にしかなりません。それは取りも直さず書いた人が不快な人間だと言う事を主張するようなものです。

別に批判が悪いなどとは言いません。むしろ、確固たる根拠があるなら批判は正当な行為でさえあります。ただ、今回の件では、原作に対しどれだけの想い入れがあるかで、人によって評価が上から下まで別れるものでした。そうした様々な立場の人間がいる問題に対し何か意見を述べる時には、それぞれの立場の人間からも理解される様に根拠を示さなければ、視野の狭い意見というだけで終わってしまいます。それが私の言う価値の無い文章です。無論、立場の違う人をも納得させるためには、深い洞察力と論理構成力を必要としますが、それらは努力次第でいくらでも磨く事が可能ですし、その能力に長ければ、相手の考えを自分よりに誘導する事さえ可能となります。

と、そんな所です。それでは今回こそ真の意味を込めて、がんばって下さいと書かせていただきます。では、失礼いたします。

投稿: 無知ノ知 | 2005/02/21 19:13

 無知ノ知さん、コメントサンクスです。

 まず、自分がここにタイプしていることは、あくまでも【感想】であり、決して【批判】ではありません。
 で、このコメントの親記事は【考察】なのですが、これについては前のコメントでタイプした通りです。

 それと論理構成力は、長けているに越したことはないのですが、それよりも自分は、その人が感じたことそのものの方が重要であると捉えています。
 つまり、例えそれがどんなに拙い文章であったとしても、その中にきちんとその人の感じたことがタイプされていれば、それこそが自分にとっての価値ある文章です。
 とはいうものの、流石に、原作ソフトと全然違うから劇場版はNGという意見には、辟易しているんですけどね。

投稿: Akihiro Inda. | 2005/02/23 20:27

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