« 【感想】『AIR』第七話「ゆめ -dream-」 | トップページ | 【相談】TBマナーについて… »

2005/02/25

【感想】『AIR』第八話「なつ -summer-」

 "コミカル"な作風の京都アニメーション。
 『dancing blade かってに桃天使!』(1998 KONAMI)に代表されるように、映像が持つ楽しさを前面に押し出せるのが京都アニメーションの魅力であると、個人的には思っています。
 この傾向は『犬夜叉』(監督:池田茂(~#44),青木康直(#45~))に於いて、最も良く表れていたと思います。
 自分が観ていて「今回はギャグが冴えているなぁ」と感じた回は大抵、京都アニメーション制作の回でしたから。(ここに『ふもっふ』を挙げられないのは、未見だからです)


 さて今回の第八話は、そんな京都アニメーションの作風が、遺憾なく発揮されていたと思います。
 Aパートに於ける、神奈(CV:西村ちなみ)と柳也(CV:神奈延年)と裏葉(CV:井上喜久子)のやり取りは、キャストの好演も相俟ってコミカル度満点。
 映像にはこれだけのパワーがあることを再認識させてくれる『AIR』は、今回も実に面白かったです。(^^)
 そして、そういったコミカルなシーンがあるからこそ、Bパートの"シリアス"さが活きてくる。
 こういった構成を"オーソドックス"という言葉で言い表すのは簡単なのですが、これだけではまだ、『AIR』の核心を捉え切れてないように感じています。
 といいますのも、原作ソフトプレイ済みの方の感想が、軒並み好評だからです。
 シナリオ展開自体は相当駆け足のようですが、ファンにとって外してはいけないシーンや台詞は、絶対に外さない。
 更に原作ソフトでは、テキストだけで表現されていたシーンを映像で表現しても、それがファンに軒並み好評。
 テキストだけということは、そのシーンはプレイヤが自由に想像していた筈。
 なのにそれを映像化しても好評ということは、プレイヤが想像していた以上の映像が提供されているということになります。
 そしてそれを原作ソフト未プレイの自分が観ても、充分に愉しめる。
 シナリオ展開も別に早いことはなく、むしろテンポが良いぐらい。
 この辺りはシリーズ構成:志茂文彦さんの、原作読解、分解、そして再構成力の賜物でしょう。
 つまりこれを大袈裟にいうと、ファンを納得させつつも、普遍性のある映像が表現されているということになります。
 時折"マニアック"という言葉とともに、ファンに受けるものとファン以外に受けるものを区別する動きがあるのですが、この『AIR』は、それらが技術次第で両立できることを証明している、希有な作品であると思います。

 これまで自分が面白い!と思う作品は往々にして、他の人にはもう一つに映っていました。
 『serial experiments lain』(監督:中村隆太郎)然り、『CASSHERN』(監督:紀里谷和明)然り…
 だけど『AIR』は、自分以外の人からも、多くの賞賛とともに向かい入れられている。
 コミカルとシリアス、オーソドックスとマニアック。
 これらを相殺することなく、シナジー効果として作品全体を高めているからこそ、『AIR』は今なお、光り輝いているのだと思います。


 それでは、よしなに。(敬称略)

|

« 【感想】『AIR』第七話「ゆめ -dream-」 | トップページ | 【相談】TBマナーについて… »

ゲーム」カテゴリの記事

『AIR』」カテゴリの記事

アニメーション」カテゴリの記事

テレビ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【感想】『AIR』第八話「なつ -summer-」:

» Air 第8話 [Cosi Cosi]
AIR prelude コミカルで楽しい今回のお話。次回は一転して悲しいお話になりそう…。 【なつ 〜summer〜】 柳也ってあんな変てこな... [続きを読む]

受信: 2005/02/25 21:48

» また目を閉じて僕は熱を知った [毎日がEveryday +Resolutions+]
・アニメ 『AIR』 第八話「な つ〜summer〜」 感想  「何故おぬしまで付く」  「それでも祈れば願いは天に届くのだろうか」 ... [続きを読む]

受信: 2005/02/25 22:24

» エアー [Phantom Moon]
AIR:其の名は翼人…両の背に翼を宿し思いを渡り、時を渡るさうなき御身─されど…さう無きが故、孤独その孤独の中、子は親に思いを馳せる※)さう無し…並ぶものがいな... [続きを読む]

受信: 2005/02/25 22:42

» AIR #8 「なつーsummerー」 [アニメ見てますか?....見切れませーん。]
 AIR #8 「なつーsummerー」  新章突入。  先週のラストから唐突に始まって、面食らう部分もあったんだけど、それよりも元々観鈴の見る夢とか往人のイメ... [続きを読む]

受信: 2005/02/25 22:44

» AIR 第八話 なつ −summer− [Old Dancer's BLOG]
 えっと、ですね。 ボクの涙腺、壊れちゃったみたいなんすよ…。 神奈(がんな゛)ああああ!!! [続きを読む]

受信: 2005/02/26 02:03

» AIR 第8話 最萌え神奈さま! [いぬ日記]
● AIR 第8話「なつ -summer-」。今回から、千年前に舞台が変わったバウ。登場人物もまるっきり入れ替わり。 ● そんななかでも、神奈(かんな)さまは... [続きを読む]

受信: 2005/03/01 12:49

» AIR 第8話 [ナナメから見てみる]
さて、今回のお話は神奈編の序章です。 現代編で往人が消えたあとの話は少し置いておいて、 という形になりますが、この神奈編はいままでの観鈴の異変に かか... [続きを読む]

受信: 2005/03/02 11:57

» ■AIR 第八話「なつ~summer~」 [ゆかねカムパニー2]
 神奈も裏葉も、凄い瞳の色をしていたよ。  吸い込まれちゃいそうな…。  あの瞳 [続きを読む]

受信: 2005/03/02 16:07

» AIR第8話[なつ-summer-] [ゲーム・アニメ感想]
遅くなりましたが8話目の感想です。 TVアニメの方はSUMMER編へと入り、観鈴ちんが見続ける夢、 住人が探している空にいる女の子、それが明らかになる所です... [続きを読む]

受信: 2005/03/10 17:55

» AIR 第八話 なつ [店長情報局]
さて、前回のラストで突然飛んだ過去の世界。 AIRを知ってる人は「コレからが本番」と気合が入り、知らない人は「え?往人はどうなったの!?」と戸惑ったことだろう... [続きを読む]

受信: 2005/03/12 22:58

« 【感想】『AIR』第七話「ゆめ -dream-」 | トップページ | 【相談】TBマナーについて… »