【感想】『AIR』第四話「はね -plume-」
さて今回は少々、辛辣な内容になるかも知れませんが、ご容赦下さい。
自分はこれまで『AIR』に対して、ストーリーへの感想を述べてきませんでした。
それはこれまでの『AIR』が、伏線を鏤めることに重きを置いていたからです。
今回だって、遠野美凪(CV:柚木涼香)とその母(CV:山本百合子)とみちる(CV:田村ゆかり)の伏線を引いているぐらいですから。
また伏線は、それ自体が重要ではなく、結末を含めてストーリーを俯瞰した時に、初めて意味をなすものとの観点から、まだストーリー的なことは語れないと思っていました。
ですのでこれまでは、映像についてのみでいいだろうと…
ところが今回の第四話「はね -plume-」では、霧島佳乃(CV:岡本麻見)に掛けてきた数々の伏線が一気に開花。
魔法遣い
空を飛びたい
突然の首絞め
黄色いバンダナ
多重人格
すすき野原
そして…"はね"・・・
これらの"点"が、一気に"線"として繋がりました。
ストーリーテーリングとしては、凄いと思いました。
ところが・・・これが作品としては面白くないのです。
佳乃の代わりに黄色いバンダナが、佳乃の母(CV:萩森侚子)の許へ向かうことで、ストーリー的には一区切りとなります。
ですがこの作品は、この大きな区切りをもって、いったい何を訴えかけたいのでしょうか?
このストーリーは全くもって、自分の心に楔を打ち込んでこないのです。
では『AIR』は、何気ない日常を描いているのか?というと、そうでもない。
明らかに非日常を持って、何かを訴えかけようとしている。
それこそタイトルにもあるように、作品が持つ独特の"空気"をもって、何かを訴えかけようとしている。
なのにどうして?・・・
自分がこういった感想になる原因は、自分のリテラシー不足によるものだと思うのですが、その一方で、原作ソフトをプレイしていると、感想も全く変わってくるのではないか?という思いもあります。
これまで他の方の感想を拝見していますと、原作をプレイしている人なら悦に入れるカットが、随所に鏤められているようです。
そうするとこの、第四話に於ける何も無さだって、後々への大きな伏線かも知れない?
何しろ次回は、「はね -plume-」を束ねた「つばさ -wing-」ですからね。
ですがいずれにしましても、今回の『AIR』が自分にとってはもう一つだったということに、変わりはありません。
これからネット上に散らばる皆さんの感想を熟読玩味しまして、自分の審美眼を鍛えていきたいと思います。
さてその後、皆さんの感想を読み込んだ上で、もう一度第三話から観直してみました。
すると随分、印象が変わってきました。
「第四話に於ける何も無さ」と評していましたが、佳乃に注目すると、たいへん見所がありました。
むしろ、これでもかといわんばかりに、霧島一家の温かさが伝わってきました。
第三話で「もしも魔法でお母さんに会えたら、お母さんに謝りたい」という佳乃に対して往人は、「謝るんじゃなくて、お礼をいうんだろう」といいます。
そして第四話で聖(CV:冬馬由美)に、「魔法なんてもの、初めからありはしなかった」といわせておいた上で、佳乃に「私を生んでくれてありがとう」といわせ、更にそれを往人が「それはお前の魔法だ」という。
これ、すげぇ!いい話なんですけど。
どうも初見のときは、ここに眼が行かなかったのですが、往人じゃなくて佳乃を主軸に捉えると、第四話もたいへん満足のいく出来映えでした。
「作品として面白くない」なんてタイプして、ごめんなさい。
作品としても、充分に面白かったです。
それと映像的なことについてですが、これまでと比較すると、随分と大人しくなったなぁという印象です。
ですがそれでも、他のTVシリーズを大きく上回っていると思います。(裏番組とは、そもそも同じ俎上に載りません)
レイアウト作画監督はクレジットされていませんが、きちんとレイアウトの取れた映像は、観ていて気持ちがいいです。
それでは、よしなに。(敬称略)
P.S. エンドテロップでは「萩森徇子」でしたが、正しくは「萩森侚子」です。
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