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2005年1月

2005/01/28

【感想】『AIR』第四話「はね -plume-」

 さて今回は少々、辛辣な内容になるかも知れませんが、ご容赦下さい。

 自分はこれまで『AIR』に対して、ストーリーへの感想を述べてきませんでした。
 それはこれまでの『AIR』が、伏線を鏤めることに重きを置いていたからです。
 今回だって、遠野美凪(CV:柚木涼香)とその母(CV:山本百合子)とみちる(CV:田村ゆかり)の伏線を引いているぐらいですから。
 また伏線は、それ自体が重要ではなく、結末を含めてストーリーを俯瞰した時に、初めて意味をなすものとの観点から、まだストーリー的なことは語れないと思っていました。
 ですのでこれまでは、映像についてのみでいいだろうと…
 ところが今回の第四話「はね -plume-」では、霧島佳乃(CV:岡本麻見)に掛けてきた数々の伏線が一気に開花。

   魔法遣い
                           空を飛びたい
         突然の首絞め
                    黄色いバンダナ
     多重人格
                                 すすき野原
               そして…"はね"・・・

 これらの"点"が、一気に"線"として繋がりました。
 ストーリーテーリングとしては、凄いと思いました。
 ところが・・・これが作品としては面白くないのです。
 佳乃の代わりに黄色いバンダナが、佳乃の母(CV:萩森侚子)の許へ向かうことで、ストーリー的には一区切りとなります。
 ですがこの作品は、この大きな区切りをもって、いったい何を訴えかけたいのでしょうか?
 このストーリーは全くもって、自分の心に楔を打ち込んでこないのです。
 では『AIR』は、何気ない日常を描いているのか?というと、そうでもない。
 明らかに非日常を持って、何かを訴えかけようとしている。
 それこそタイトルにもあるように、作品が持つ独特の"空気"をもって、何かを訴えかけようとしている。
 なのにどうして?・・・

 自分がこういった感想になる原因は、自分のリテラシー不足によるものだと思うのですが、その一方で、原作ソフトをプレイしていると、感想も全く変わってくるのではないか?という思いもあります。
 これまで他の方の感想を拝見していますと、原作をプレイしている人なら悦に入れるカットが、随所に鏤められているようです。
 そうするとこの、第四話に於ける何も無さだって、後々への大きな伏線かも知れない?
 何しろ次回は、「はね -plume-」を束ねた「つばさ -wing-」ですからね。

 ですがいずれにしましても、今回の『AIR』が自分にとってはもう一つだったということに、変わりはありません。
 これからネット上に散らばる皆さんの感想を熟読玩味しまして、自分の審美眼を鍛えていきたいと思います。

 さてその後、皆さんの感想を読み込んだ上で、もう一度第三話から観直してみました。
 すると随分、印象が変わってきました。
 「第四話に於ける何も無さ」と評していましたが、佳乃に注目すると、たいへん見所がありました。
 むしろ、これでもかといわんばかりに、霧島一家の温かさが伝わってきました。
 第三話で「もしも魔法でお母さんに会えたら、お母さんに謝りたい」という佳乃に対して往人は、「謝るんじゃなくて、お礼をいうんだろう」といいます。
 そして第四話で聖(CV:冬馬由美)に、「魔法なんてもの、初めからありはしなかった」といわせておいた上で、佳乃に「私を生んでくれてありがとう」といわせ、更にそれを往人が「それはお前の魔法だ」という。
 これ、すげぇ!いい話なんですけど。
 どうも初見のときは、ここに眼が行かなかったのですが、往人じゃなくて佳乃を主軸に捉えると、第四話もたいへん満足のいく出来映えでした。
 「作品として面白くない」なんてタイプして、ごめんなさい。
 作品としても、充分に面白かったです。

 それと映像的なことについてですが、これまでと比較すると、随分と大人しくなったなぁという印象です。
 ですがそれでも、他のTVシリーズを大きく上回っていると思います。(裏番組とは、そもそも同じ俎上に載りません)
 レイアウト作画監督はクレジットされていませんが、きちんとレイアウトの取れた映像は、観ていて気持ちがいいです。


 それでは、よしなに。(敬称略)

 P.S. エンドテロップでは「萩森徇子」でしたが、正しくは「萩森侚子」です。

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2005/01/26

【当選】劇場版『AIR』先行鑑賞会

 こんばんは!

 タイトルにもありますように、劇場版『AIR』先行鑑賞会の整理券が当たりました!
 自分の知っている限り、劇場版公式ページで100名と、Keyの公式ページの20名の合計120名しか、募集していなかったはず。
 こんなに貴重な整理券を当てて下さった製作委員会の方には、足を向けて寝られません。
 ということで、外れた方には申し訳ないですが、皆さんより一足先に、劇場版『AIR』を愉しんできます!


 それでは、よしなに。




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2005/01/21

【感想】『AIR』第三話「こえ -whisper-」

 さて第三話「こえ -whisper-」も、大満足の出来映えでした。

 特に、診察時間の過ぎた霧島診療所内の往人(CV:小野大輔)の映像。
 この、広角レンズによる長回しの映像に、自分は思わず息を呑みました。
 きちんとスリッパに履き替えて、診察室に近付こうとする往人。
 まるでモーションキャプチャのような往人の一挙手一投足が、広角レンズの歪みに合わせながら自然に演技をする。
 でもこのシーンは観直してみましたが、モーションキャプチャではなく、手描きのようです。
 またラストシーン間際の、佳乃(CV:岡本麻見)が首を絞めようとするときの腕の動きなど、まるでモーションキャプチャのようにリアルな動きなのですが、エンドテロップにその旨はありません。
 モーションブラーが掛かっているので判り難いのですが、あれは3Dモデリングによるトゥーンシェイドだと思います。
 いずれにしましても、キャラクタが生き生きと演技をしているのです。
 だいたいアニメーションで、キャラクタの演技をキャストではなく、アニメータで語れる作品なんて幾つありますか?
 しかもそれが『AIR』は、TVシリーズですからね。
 更に驚きです。

 また最近、16:9で制作されるTVシリーズが増えてきましたが、効果的な16:9絵コンテというのは、この『AIR』の絵コンテのことをいうのでしょう。
 堤防の上を行く観鈴(CV:川上とも子)と往人をフレームの左下に捉えた青空の映像は、16:9の画角をもってして、初めてなせる映像でしょう。
 しかもこの映像、早送りをしてみると判るのですが、雲のスプライトをただ引っ張っているのではなく、雲がモクモクと成長しているスプライトを、引っ張っているんですね。

 多くの作品は、複数回視聴によってアラが見えてくるものなのですが、『AIR』は観れば観るほど、新たな発見があります。

 次回の「はね -plume-」も期待しています。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/01/14

【感想】『AIR』第二話「まち -town-」

 TVシリーズ『AIR』(監督:石原 立也)、第二話も非常に良かったです。

 とにかく背景が綺麗です。
 総合芸術を、こういったある一点のみで判断するのはNGなのですが、それにしたって夕焼けが美しい。
 学校の屋上の金網など、これまでの作品であれば省略するところまで、きちんと描いているところなど、他の作品とは一線を画しています。
 こういった表現は不適切かも知れませんが、これは草薙(KUSANAGI)が描き出す背景にも匹敵する出来映えです。
 京都アニメーションというと、お笑い担当の一話丸ごと引き受けのイメージがあったのですが、『AIR』を観ていると、そんな印象はもうどこかへ行ってしまいました。
 そして、そんな背景にも負けないキャラクタ達。
 キャラクタを仕種で魅せる。
 特に霧島佳乃(CV:岡本麻見)の身振り手振りには、各シーンで息を呑んでいます。
 あんなアニメータの技量も、お金も掛かる演出は、なかなか観られる物ではありません。
 こういった観応えのある作品は久し振りです。

 また、ネット上の感想を拝見しますと、原作と比べ、かなり展開が駆け足のご様子。
 そのため、原作を知らない人が付いてこられるのか?と、心配されている方もいらっしゃいましたが、ご安心下さい。
 自分はBS-iでしか『AIR』を体験していませんが、これまでも充分に愉しめています。
 充分に追い付けています。
 このぐらいのテンポが、いい感じです。

 原作をプレイしたくて今、ウズウズしています。(笑)


 それでは、よしなに。(敬称略)

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2005/01/07

【感想】『AIR』第一話「かぜ -breeze-」

Air art works さて、本日から放送開始の、TVシリーズ『AIR』(監督:石原 立也)。

 たいへん面白かったです。
 『Kanon』(チーフディレクタ:伊藤尚往
)のときも、そのテキストの面白さに感心していたのですが、今回もテキストが非常に面白いですね。
 こうして予備知識なしに観ても、初回から各キャラクタがピンと立っていて、観ていて飽きないです。

 そして、アニメーションクォリティが非常に高い。
 エフェクトやカットで魅せる作品が多い中、キャラクタの仕種で魅せてくる京都アニメーション
 流石です。

 それともう一つ特筆すべきは、夕焼けの美しさ
 BS-iなのでアップコンバートだと思っていたのですが、あの美しさはトゥルーハイビジョンなのでしょうか?
 こういった、感情に訴えかけてくる鮮烈な夕焼けは、ハイビジョンならではだと思います。

 もっとこういった番組が増えて欲しいと思いました。


 それでは、よしなに。(敬称略)

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