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2001/10/08

【感想】『COWBOY BEBOP 天国の扉』

 去る、2001年 9月11日(火曜日)のレイトショーで、この映画を観てきました。
 2001年 9月11日(火曜日)、そうです、アメリカで同時多発テロ事件が起こった、その当日です。
 自分はこの事件の第一報を、J-PHONE の J-Sky Station「総合ニュース」で知りました。
 丁度、ワーナー・マイカル・シネマズ茨木を出た直後だったので、日付が変わるか変わらないかの頃合いだったと思います。
 その時は、「小型飛行機が操縦を誤ってどこかのビルに激突したんだ」ぐらいにしか考えていませんでしたが、帰宅してみて驚愕しました。
 その驚きようは、どんな形容詞で修飾しても、文末に幾ら感嘆符を並べても、筆舌に尽くしがたいものがあります。
 次の朝には、いつものように出勤しなければならないにも関わらず、結局深夜の2時頃までBSディジタル放送各局の、特別報道番組に釘付けになっていました。
 それほどあの、ボーイング767がワールドトレードセンタービルディングに激突するシーンは、衝撃的でした。
 現実に起こってしまったことであるにも関わらず、どうしてもそれを現実として受け止められず、どこかフィクションとしてそれを認識しようとしている自分がここにいる。
 とても不思議な感覚でした。

 そういった経緯もあり、普段なら良い作品に出会った夜には必ずといっていいほどそのことを思い出し、反芻しているところが、そんな思いは件の事件によって、もうすっかりリプレイスされていました。
 そして今、『COWBOY BEBOP 天国の扉』のことを思い出しながら、この感想文をタイプしているのですが・・・

 まずはオープニング。
 1カット1カットアスペクト比を変えたモノクロの絵、時折リップシンクするキャラクタ、映像に負けないだけの音楽と、音楽負けないだけの映像。
 全編を通して、自分はここだけが異質に思えたのですが、エンドロールからこのオープニングは、『人狼 JIN-ROH』でメガホンを取られた、沖浦啓之さんの製作だということが判りました。
 こういったオープニングだけ別の人が作成するといった手法は、TVシリーズではよく見掛けますが、劇場用作品では珍しいなと思いました。

 次に憶えていることは、音楽。
 先程も触れましたが、とにかく、いちいち耳に残る自己主張のたいへん強いBGMが印象的でした。
 この辺りは、菅野よう子さんの面目躍如といったところでしょうか。
 また、映像もこの自己主張の強い音楽負けていないのだから、本当に凄いと思います。
 特にスパイクが駆る、ソードフィッシュのドッグファイトシーンが、途方もなく格好良かったです。
 この作品後半のドッグファイトシーンが引き立つのも、作品前半の地道な物語の積み立てがあったからだと思います。
 作品の最初の方は、アスペクト比が16:9であることを除けば、別段劇場用作品であるとは感じにくかったです。
 何故なら、『COWBOY BEBOP』は元々、TVシリーズからハイクォリティな映像作品でしたから、アニメーションのクォリティでそれを判断することは難しかったです。
 ですが、ジークンドーのアクションシーンや前述のドックファイトシーンなどは、劇場用作品でなければ実現しなかったであろう長尺かつ、ハイクォリティな映像で、これだけでも充分に『COWBOY BEBOP 天国の扉』を観る価値があったと思います。

 次に物語ですが、これは別に劇場版だからということはなかったです。
 大きな小道具にナノマシーンを持ち込み、それを主軸に物語を展開していく。
 物語の中で「細菌兵器」だと思われていたものが、実は「ナノマシーン」だということになったときには、これがドラえもんの便利道具にならないかと心配したのですが・・・
 『COWBOY BEBOP』という世界観から鑑みれば、ああいったナノマシーンは充分にありなのですが、流石にカウンタナノマシーン(だったかな?)を口から摂取して大丈夫だった。雨のように降らせて大丈夫だったというのは、便利すぎる小道具であったように感じました。
 有り体にいえば、リアリティが乏しいと・・・
 ですがこの作品は、あくまでも『COWBOY BEBOP』です。
 そう考えると、この小道具も全然OKになってくるのだから、『COWBOY BEBOP』って不思議な世界観ですね。

 さて、映像も物語もそうなのですが、元々TVシリーズからハイクォリティな作品であり、なおかつこの作品はサイドストーリィ的な扱いではなく、TVシリーズと同じ時間軸に乗る作品であるため、「劇場版」としての差別化が他作品ほどされていません。
 良くも悪くも、この作品は『COWBOY BEBOP』です。
 これまでのTVシリーズ→劇場版といった流れを取った作品とは、大きく異なりますね。


 ARE YOU LIVING IN THE REAL WORLD ?


 さて、これがこの映画のラストメッセージです。
 当然のことながら、この問いに対する自分の答えは、誰が何といおうと「Yes」です。
 実際、そう思ってワーナー・マイカル・シネマズ茨木を後にしました。
 自分は別に、夢の中で生きているとは思っていませんから。
 ですがその後、件の事件映像を観て思ったことは、「もしかするとNoかも知れない」ということでした。
 自分の中でああいったことは、フィクションの中だけの出来事であり、絶対にリアルワールドでは起こりえないことでしたから・・・
 しかし現実に、ワールドトレードセンタービルディングは二棟とも倒壊し、日本時間で本日(2001/10/08)未明、アメリカ・イギリス両軍はタリバーン軍事政権に対して、報復攻撃を開始しました。
 本当にもうどうなっちゃっているのでしょうか。
 これまでも、そしてこれからも、自分が生きている世界は紛れもなく現実世界の筈ですが、どうやらその現実の内容が大きく変わってきているように感じています。

 今回は『COWBOY BEBOP 天国の扉』を鑑賞したタイミングがタイミングだっただけに、作品内容とは違った意味で、たいへん印象に残る作品となりました。


 以上

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